愛知県常滑市で探偵副業の元市職員が守秘義務違反で逮捕

この記事は探偵業者に相談や調査依頼を考えている方へ注意喚起をするため、過去に悪徳な探偵が関わった事件を抜粋しながら「探偵の事件簿」としてご紹介しています。

第14回目は探偵業を副業にしていた元市職員が守秘義務違反容疑で逮捕された事件について、2025年12月3日に報道された「探偵業を副業にしていた元市職員、守秘義務違反容疑で逮捕…市民の個人情報漏らし3000万円以上得たか」「探偵業営み、個人情報漏えいか 豊田市元職員逮捕―愛知県警」、そして2025年12月4日に追加報道された「「探偵業」の元職員、他職員にも照会持ちかけか 個人情報漏洩事件」についてピックアップしてみました。

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探偵副業の元市職員が守秘義務違反で逮捕

2025年12月3日 読売新聞オンライン

探偵業を副業にしていた元市職員、守秘義務違反容疑で逮捕…市民の個人情報漏らし3000万円以上得たか

市役所で勤務中に業務用端末を操作して市民の情報を取得し、「副業」にしていた探偵業の顧客に漏らしたとして、愛知県警は3日、元同県豊田市職員で探偵業の男(43)を地方公務員法違反(守秘義務)容疑で逮捕した。数十人分を不正に照会し、約70人の顧客から3000万円以上を売り上げたとみている。

発表によると、男は同市教育委員会保健給食課主査だった2023年11~12月、同課の端末で市民の氏名の漢字や過去の住所などを照会し、探偵業の顧客に漏らした疑い。容疑を認めている。

県警によると、男は07年に市に採用され、副業の許可を得ず20年10月に親族名義で探偵事務所を開業した。病気を理由に22年11月から休職し、今年3月に一身

上の都合で退職していた。復帰に向けて一時勤務した際に市民の情報を取得したという。

2025年12月3日 時事通信

探偵業営み、個人情報漏えいか 豊田市元職員逮捕―愛知県警

公務員なのに探偵業を営み、役所の端末で得た市民の個人情報を漏えいしたとして、愛知県警捜査2課は3日、地方公務員法違反(守秘義務違反)の疑いで、愛知県豊田市教育委員会保健給食課の元主査、竹内崇容疑者(43)=同市浄水町=を逮捕した。容疑を認めているという。捜査2課は数十人分の個人情報を得ていたとみて調べる。

逮捕容疑は在職中の2023年12月5日、市役所の端末を操作して得た調査対象者1人の名前や住所、転入日などの情報を含む報告書を依頼主に渡し、職務上知り得た秘密を漏えいした疑い。

捜査2課によると、当時は休職扱いだったが、復職に向けた慣らし出勤をしていた。親族が代表で、不倫調査を専門とする「Love&Free探偵事務所」(常滑市)に遅くとも21年12月から籍を置き、実質経営していた。

「裏で探偵業をやっている」「職員の立場を利用して情報を得ようとしている」との情報が県警に寄せられ、発覚した。

竹内容疑者は22年11月に市を休職し、今年3月末に退職した。

豊田市の塚田良総務部長は記者会見し、「市民を裏切る行為で再発防止に努める。誠に申し訳ありませんでした」と述べた。

2025年12月4日 朝日新聞

「探偵業」の元職員、他職員にも照会持ちかけか 個人情報漏洩事件

愛知県豊田市の元職員が在職中、市民の個人情報を探偵業に使っていた事件で、この男が他の市職員に対しても、市民の個人情報を照会できないかと持ちかけていたことが、県警への取材でわかった。県警は働きかけに応じた職員はいなかったとみている。

豊田市役所の端末を操作して入手した個人情報を、兼業していた探偵業の顧客に漏らしたとして地方公務員法(守秘義務)違反容疑で逮捕されたのは、豊田市教育委員会事務局保健給食課の元主査で、探偵業竹内崇容疑者(43)=同市浄水町4丁目。

県警によると、竹内容疑者は2022年11月以降、今年3月に退職するまで休職していたが、この間、探偵業で必要な市民の個人情報を入手するため、複数の職員に市の端末で個人情報を照会するよう持ちかけていた。持ちかけたのは数件とみられ、県警の捜査では応じた職員は確認されていないという。

一方、容疑者をめぐっては「休職中、裏で探偵業をやっている」「情報を漏らしているようだ」といった情報が県警に寄せられ、これが摘発の端緒となったという。

逮捕容疑は、同課主査だった23年12月5日ごろ、市民1人の氏名や転入前の住所などを調査報告書に記載し、顧客に渡したというもの。不正な照会は数十人分あったといい、県警は実態解明を進めている。

守秘義務違反事件の概要

探偵副業の元市職員が守秘義務違反で逮捕された事件概要

容疑者と逮捕内容

愛知県豊田市教育委員会保健給食課の元主査、竹内崇容疑者(43)が地方公務員法違反(守秘義務違反)の疑いで逮捕されました。
逮捕容疑は在職中の2023年12月5日、市役所の端末を操作して得た調査対象者1人の名前や住所、転入日などの情報を含む報告書を依頼主に渡し、職務上知り得た秘密を漏えいした疑いです。

事件の経緯と手口

二足の草鞋を履く

容疑者は親族が代表である「Love&Free探偵事務所」(愛知県常滑市)に遅くとも2021年12月から籍を置き、実質経営していました。

兼業違反
2020年10月に親族名義で探偵事務所を立ち上げ、兼業の許可などは得ていませんでした。
休職中の犯行
当時は休職扱いでしたが、復職に向けた慣らし出勤をしていました。

被害の規模

県警は数十人分の個人情報を得ていたとみて調べています。
顧客は70人以上、売り上げは3,000万円以上あったとみられています。
応じた職員はいなかったが、休職中は他の複数の市職員に情報を提供するよう働きかけていました。

発覚の経緯

「裏で探偵業をやっている」「職員の立場を利用して情報を得ようとしている」との情報が県警に寄せられ、発覚しました。

市の対応

豊田市の塚田良総務部長は記者会見し、「市民を裏切る行為で再発防止に努める。誠に申し訳ありませんでした」と述べました。
容疑者は2022年11月から休職し、2025年3月末に退職しています。

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このように今回の事件は、公務員による組織的な個人情報の不正利用や行政のセキュリティ管理の脆弱性、そして探偵業界における違法な情報入手の実態を浮き彫りにした重大な事件なのです。

行政セキュリティと公務員倫理の問題

探偵逮捕で考える行政セキュリティと公務員倫理の問題

これらの探偵業を副業にしていた元市職員が地方公務員法違反(守秘義務)容疑で逮捕されるというニュースには行政のセキュリティと公務員倫理に関する複数の深刻な問題点が含まれています。
ここからはそれらの主な問題点を整理して考えていきましょう。

1.公務員による兼業禁止規定の違反

容疑者は市職員でありながら、遅くとも2021年12月から親族名義の探偵事務所に籍を置き、実質的に経営していました。
地方公務員法では営利企業への従事や兼業には事前の許可が必要ですが、兼業の許可は得ていませんでした。

2.守秘義務違反による個人情報の不正利用

市役所の端末で得た市民の氏名・住所・転入日などの情報を探偵業の依頼主に提供しました。
これは地方公務員法の守秘義務違反にあたります。
職務上アクセス可能な住民基本台帳データを私的な営利目的で悪用した点が極めて悪質です。

3.被害の規模と組織的問題

愛知県警は数十人分の個人情報が不正に取得されたとみています。
探偵事務所の顧客は70人以上、売り上げは3,000万円以上に上ったとされています。
幸い応じた職員はいなかったとのことですが、他の市職員に対しても市民の個人情報を照会するよう持ちかけていました。

4.アクセス管理とチェック体制の不備

休職中だったものの復職に向けた慣らし出勤中に端末にアクセスできたという事実は、自治体のアクセス管理体制の脆弱性を示しています。
休職者の権限管理や端末操作のログ監視が不十分だったと考えられます。

5.発覚の経緯と内部統制の問題

「裏で探偵業をやっている」「職員の立場を利用して情報を得ようとしている」との情報が県警に寄せられて発覚しました。
つまり市の内部統制では発見できず、外部からの通報で初めて明るみに出た点も問題なのです。

市民への影響

探偵を副業の元市職員逮捕が及ぼす市民への影響を考察

不倫調査などで個人情報が悪用された可能性があり、プライバシー侵害の被害者は深刻な精神的苦痛を受けている恐れがあります。
また、市民の行政への信頼が大きく損なわれました。

この事件は、行政機関における個人情報管理の厳格化、職員の兼業チェック体制の強化、アクセスログの監視強化など、多方面での再発防止策が必要であることを示しています。

探偵業界への問題

探偵を副業の元市職員逮捕から考察する探偵業界への問題

今回の探偵業を副業にしていた元市職員が地方公務員法違反(守秘義務)容疑で逮捕されるというニュースで探偵業界側に浮かび上がる問題点もあります。
ここからはそれらの主な問題点を整理して考えていきましょう。

1.違法な個人情報の入手・利用への加担

最大の問題は実稼働している探偵事務所が、住民基本台帳データなど行政機関から不正に入手された個人情報を使って調査を行っていた可能性が高いという点です。

「電話番号から個人情報を入手する」「携帯電話会社の社員を買収する」「名簿屋から個人情報を買い取る」など、個人情報の漏えいに関わる行為は違法です。
今回のケースでは市職員という内部者を利用した形ですが、どのような手法であっても個人情報が漏えいされている以上、構造は同じなのです。

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探偵業法についてはこちらが参考になります。興味がありましたら読んでみてください。

2.依頼の正当性確認の不徹底

探偵事務所や興信所などの探偵業者は調査依頼時、それらの調査は正当性があるのかを慎重に判断する義務があります。

しかし今回逮捕された探偵事務所は市職員が不正に入手した情報を使って特殊な調査をするふりをしてその情報源や入手方法について疑問を持たなかった点が大きな問題です。
あるいは調査料金に目が眩んで、大金という甘い汁を吸うために見て見ぬふりをしていた可能性があるのです。

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探偵業の調査についてはこちらが参考になります。興味がありましたら読んでみてください。

3.探偵業法で認められた調査方法の逸脱

探偵業の業務の適正化に関する法律(以下、探偵業法)で認められている調査方法は「尾行」「張り込み」「聞き込み」などの探偵調査員が実際に動く実地調査のみです。
行政の内部データベースから直接情報を抜き取るという方法は、これらの合法的な調査手法とは全く異なるので違法調査となるのです。

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探偵業の具体的な違法調査についてはこちらが参考になります。興味がありましたら読んでみてください。

4.業界全体の信頼性への悪影響

まだまだ探偵の中には個人情報を正しく取り扱わなかったり、違法に個人情報を入手したりする悪徳業者は存在しています。
このような事件が発生して報道されることで、少なからず探偵業界全体への不信感が高まるのは間違いないでしょう。

そして適法に営業している探偵事務所や興信所などの探偵業者にも悪影響が出る可能性はあるのです。

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悪徳探偵についてはこちらのカテゴリが参考になります。興味がありましたら読んでみてください。

5.親族名義での実質経営という脱法行為

容疑者は親族名義で探偵事務所を開設し、数年間営業していました。
これは公務員の兼業禁止を回避するための脱法行為となりますが、探偵業を管轄とする公安委員会や探偵業界としてもこのような実態と届出の違いを見抜けなかったことは問題なのです。

6.個人情報保護法違反のリスク

探偵業では調査業務の中で多数の個人情報を取り扱っています。
それらの理由から、個人情報保護法に関わる事業者でもあるのです。

また不正な手段で個人情報を取得してはならず、本人の同意なく第三者に提供してはならないとも定められています。
今回の事件はこれらの規定に対して明確に違反しているのです。

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不正な手段で個人情報を取得する探偵についてはこちらが参考になります。興味がありましたら読んでみてください。

探偵業界への教訓

探偵を副業の元市職員逮捕から考察する探偵業界への教訓

この探偵業を副業にしていた元市職員が地方公務員法違反(守秘義務)容疑で逮捕されるという事件は、探偵業界に対して以下の点を再確認させるものでもあります。
探偵業者を名乗って営業する以上、今後もこれらの問題については熟考していかなければなりません。

合法性な調査手法の徹底確認
  1. 各種調査に関わる探偵調査員への法令遵守の徹底
  2. 「簡単に入手できる情報」ほど疑ってかかる姿勢
  3. 探偵業界や団体による自主規制と監視の強化

探偵事務所や興信所などの探偵業は依頼者個人の権利保護のためには重要な役割を果たしています。
しかし一方では個人情報を扱う性質上、常に違法行為などの誘惑との境界線上にあるということは忘れてはなりません。

この探偵業を副業にしていた元市職員が地方公務員法違反(守秘義務)容疑で逮捕されるという事件は、合法と違法のボーダーラインを明確に意識しながらコンプライアンスを徹底することの重要性を示しているのです。

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探偵業の本質である実地調査ではなく、個人情報の漏えいで収入を得ていたとは。同じ業界にいる者として恥ずかしい限りです。

探偵の守秘義務違反事件のまとめ

探偵副業元市職員が守秘義務違反で逮捕される事件まとめ

今回お伝えしてきた探偵業を副業にしていた元市職員が地方公務員法違反(守秘義務)容疑で逮捕されるという事件では、豊田市職員が公務員の立場を悪用して住民基本台帳データを不正に入手し、探偵業に流用していたという悪質な事案です。
これは昔から問題視されている探偵業界にとって最も避けるべき違法調査の典型例でもあるのです。

テレビドラマや映画の影響もあり、探偵業者は昔よりも身近な存在になっています。
そして探偵なら調査を依頼すればどんな難問でも結果を出してくれると考えている方も多いのではないでしょうか。

探偵業界には、まっとうに合法的に調査を行う探偵業者もあります。
様々な法律が絡み合う現代社会だからこそ、それらの法律に反しない調査に制限されているから限界もあると考えた方が良いでしょう。

しかし一部では今回のように個人情報の漏えいに関わりながら、違法行為も平気で行う探偵業者もまだまだあるということも忘れてはなりません。

違法行為をしない探偵を選ぶ

行政データベースからの情報入手は日本の探偵には認められていません。
探偵業法で認められた「尾行」「張り込み」「聞き込み」という合法的な調査手法だけを行う探偵を選びましょう。

顧客70人以上で売上3,000万円超という規模で営業していながら、簡単に入手できる個人情報の出所を疑わなかったのは探偵事務所の重大な過失です。

1つの探偵事務所が起こしたこのような個人情報の漏えい事件が報道されることで、合法に経営して少しずつ信頼を積み上げている探偵事務所まで疑いの目を向けられることになるのです。
また牛歩ですが昔よりも少しだけ身近な存在となってきた探偵業界全体の信頼失墜となることは間違いないでしょう。

事件からの教訓
  1. 簡単に入手できる情報ほど疑うべき
  2. 情報源の合法性確認は探偵の生命線
  3. コンプライアンス意識の徹底が探偵業界の未来を守る

探偵業は個人の権利を守る重要な仕事ですが、常に法令遵守の境界線上にあります。

この事件を他人のつまらぬ言動や行動も自分の人格を育てる助けとなるという意味で使われている『他山の石』としてとらえ、今一度探偵業界全体で襟を正す必要があるのではないでしょうか。

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追放キャンペーンのために考案されたキャッチコピーではないですが、『違法調査やめますか?それとも探偵やめますか?』と声を大にして伝えたいですね。

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探偵歴20年以上の超常現象探偵

見た目はかなりの強面だがペット好きで非常に優しいという裏腹な一面がある。超常現象に異常な関心があるらしい。

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